「マテーラの洞窟」と「アルベロベッロ」
街道から離れた断崖絶壁に異教徒として追われた人々が住みついた町、マテーラがある。
岸壁の洞窟に住みついたのは偶像崇拝をしていた為、イスラムの支配から逃れてきた。ギリシャやトルコのキリスト教信者や修道士達であった。
8世紀から9世紀にかけて洞窟から都市へと拡大していった。
家族が一人増える毎に新しい部屋をほって造っていき、家が密集していった。
1950年代スラム化を理由に住民の強制退去がおこなわれたマテーラに再び人が戻って来た。
無人だった住居は修復され、廃虚として捨てられた洞窟都市は再び息を吹き返してきた。
「プーリア州」イタリア半島の南に位置するプーリア州、平地が50%を越える恵まれた大地の上でローマ街道はどこまでも直線を貫きながらアドリア海へ向かっていく。
肥沃な大地と温暖な気候に恵まれた土地は上質なオリーブの産地として、赤い大地を彩る緑はオリーブの木。
平らな大地から突き出たように見えるトンガリ屋根がある。円錐形の屋根は北アフリカから地中海を越え伝わったと言われる。
「アルベロベッロ」
円錐状に積まれた石灰石の屋根はトゥルッリと呼ばれる独特の住居である。
かってこの土地を開墾した農夫達には苦難の歴史が刻まれている。
農民達は屋根を漆喰で固定せず、ただ石を積み上げて造った。
役人達が来た時にすぐに屋根を取り壊せるようにした。
屋根がなければ家と見なされないので税金を逃れることができる。
屋根に描かれているのは魔除けの意味を持つ、占星術や宗教のシンボルとみられている。
トゥルッリの部屋は隣りの家と壁を共有して長屋のような形で造られた。